自然免疫を大事に
人間の免疫には、獲得免疫と自然免疫があります。
よく知られている抗体による免疫は、獲得免疫です。
一方、自然免疫は、病原体が体内に侵入した時に、獲得免疫より先に機能し、最前線で防御するシステムです。
自然免疫は、獲得免疫と違って異物の種類を選ばない為、反応が素早く、多くの病原体に対応できます。
自然免疫はとても重要です。
自然免疫力が低下すると、様々な疾患を引き起こす原因となります。
例えば、風邪について考えてみましょう。
ウイルスなどの病原体が気道内に吸い込まれ、気道粘膜に付着し、体内に侵入して発症します。
体力が充実していれば、発症させないで済むことも多いです。
少し弱っていたり、ウイルス等の増殖が強かったりすると、炎症が起きます。
それが風邪です。
発熱はウイルスを死滅させようという自然免疫の反応です。
くしゃみ、鼻水、咳、下痢なども同じ自然免疫で、有害なものを外に出そうとする反応です。
もし解熱剤を飲んだら、どうなるでしょう?
熱は下がります。
しかし、ウイルスを殺そうとしていた免疫力を抑えることになります。
抗生物質を投与すれば、病原体は死滅するかも知れません。
しかし、腸内細菌も殺してしまうというデメリットがあります。
人間を病気から守る免疫細胞の7割は腸に集まっています。
腸内細菌が免疫細胞の刺激になって、免疫の働きを助けています。
つまり、腸内細菌のバランスが崩れると、免疫力が低下するのです。
そもそも、病気を治しているのは自分自身です。
西洋医学であっても東洋医学であっても、本人の免疫力(自然治癒力)が治しています。
なので、免疫力を下げない、できるだけ高めることが大事です。
もし普通の「風邪」であっても、免疫力の著しく下がるようなことをしたら、
医療崩壊につながるかも知れません。
コロナ禍で、自然免疫の反応を病気と見なさない発想が、今後益々重要になります。